実況中継!糖尿病と食事の関係。薬剤師が教える血糖値を上げない食べ方

薬の話

糖尿病の治療というと「薬を飲む」「インスリンを打つ」というイメージがあるかもしれません。でも実は食事管理は薬と同じくらい、いやそれ以上に大切です。

服薬指導の現場で患者さんに食事についてお伝えする機会は多くあります。今回は薬剤師目線で、血糖値を上げない食べ方についてお伝えします。

糖尿病の治療評価でよく使われるのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)です。過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映する重要な指標です。でもHbA1cだけでは評価できないことがあります。

グルコーススパイクとは:

食後に血糖値が急激に上昇し、その後急激に下がる現象のことです。HbA1cが正常範囲内でもグルコーススパイクが起きていることがあり、血管への負担が大きくなります。血管への負担が積み重なることで、動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まると言われています。

服薬指導の際にHbA1cのデータを見ながら、グルコーススパイクについて説明することがあります。血糖値の「平均」だけでなく「変動幅」にも注目することが大切です。

食事指導でよくお伝えするのがPFCバランスです。

PFCバランスとは:
P(Protein:タンパク質)、F(Fat:脂質)、C(Carbohydrate:炭水化物)の3大栄養素のバランスのことです。

糖尿病の食事管理では:
✅ 主食(炭水化物)を減らす
✅ タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)を増やす
✅ 脂質は質を意識する(良い油を選ぶ)

主食を一気に減らすのが難しい場合は、まず「今の量より少し減らす」ところから始めてみてください。小さな変化が血糖値に大きな影響を与えることがあります。

食べる順番を変えるだけで血糖値の上がり方が大きく変わります。それがベジファーストです。

ベジファーストの効果:
野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を緩やかにします。

食べる順番:

  1. 野菜(サラダ・煮物など)
  2. タンパク質(肉・魚・卵など)
  3. 主食(ご飯・パン・麺類)

主食を最後に食べることで、食後の血糖値の急上昇を抑えることができます。

外食でも実践できます。定食を頼んだらまず味噌汁と副菜から食べ始めることを意識してみてください。

GI値(グリセミックインデックス)とは、食品が血糖値を上昇させる速さを示す指標です。GI値が高いほど血糖値が急激に上がります。

白米と玄米・雑穀米の違い:
白米(GI値:約84)→ 血糖値が急上昇しやすい
玄米(GI値:約55)→ 血糖値の上昇が緩やか
雑穀米(GI値:約50〜55)→ 血糖値の上昇がさらに緩やか

摂取カロリーは同じでも、玄米や雑穀米に変えるだけで血糖値の急上昇を抑えることができます。

「白米から玄米に変えるのは抵抗がある」という方は、白米に少し雑穀を混ぜるだけでも効果があります。まずは少しずつ試してみてください。

【低GI食品・高GI食品 一覧】

■ 低GI食品(GI値55以下)
主食類:玄米(55)・雑穀米(50〜55)・そば(54)・全粒粉パン(50)
野菜類:ブロッコリー(10)・キャベツ(10)・ほうれん草(15)・きのこ類(15以下)
タンパク質:肉類・魚介類・卵・豆腐・納豆(ほぼ全て低GI)
乳製品:牛乳(25)・無糖ヨーグルト(25)
果物:りんご(36)・いちご(29)・グレープフルーツ(31)

■ 高GI食品(GI値70以上)
主食類:白米(84)・食パン(91)・フランスパン(93)・うどん(80)
その他:じゃがいも(90)・コーンフレーク(75)・スナック菓子(各種)

※GI値は調理法や品種によって異なる場合があります。

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糖尿病の食事管理で体重管理が重要な理由はインスリン抵抗性にあります。

インスリン抵抗性とは:
インスリンが分泌されても細胞がうまく反応できない状態のことです。肥満、特に内臓脂肪が多い状態ではインスリン抵抗性が高まり、血糖値が下がりにくくなります。

体重を5〜10%減らすだけでもインスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールが良くなることが多いです。

ダイエットというと極端な食事制限を思い浮かべる方も多いですが、糖尿病の食事管理は「食べない」ではなく「何を・どの順番で・どれくらい食べるか」を意識することが大切です。

今回お伝えした食事のポイントをまとめると:

✅ HbA1cだけでなくグルコーススパイクにも注意
✅ 主食を減らしてタンパク質を増やす(PFCバランス)
✅ 野菜から食べる(ベジファースト)
✅ 白米を玄米・雑穀米に変える(低GI食品)
✅ 体重管理でインスリン抵抗性を改善する

糖尿病治療は近年さまざまな新薬の登場により、血糖コントロールが以前と比べて良好な患者さんが増えています。しかし薬に頼るだけでなく、食事の内容や食べ方を見直すことで治療をさらに最適化することが大切です。糖尿病は長い付き合いになります。完璧を目指さず、無理のない範囲で少しずつ取り組んでみてください。

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