【この記事でわかること】
✅ 高齢者てんかんが増えている理由
✅ なぜ認知症と間違われやすいのか
✅ 認知症とてんかんの症状の違い
✅ 見分けるための3つのポイント
✅ 適切な治療で症状が改善した現場の事例
「最近、親の様子がおかしい。認知症かもしれない…」
そう感じて受診した結果、実はてんかんだったというケースが増えています。
てんかんというと若い人の病気というイメージがありますが、実は高齢者に最も多く見られる疾患のひとつです。しかも症状が認知症とよく似ているため、見逃されてしまうことがあります。
今回は認知症と間違われやすい高齢者のてんかんについて解説します。
てんかんは高齢者にも多い疾患のひとつ
てんかんというと子どもや若い人に多いイメージがありますが、年代別で見ると実は高齢者が最も多く今後もさらに増加していくとみられています。
高齢者のてんかんの原因のほとんどは後天的なものです。
主な原因:
✅ 脳卒中(脳梗塞・脳出血)の後遺症
✅ 脳腫瘍
✅ 転倒による頭部外傷
✅ アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患
これらは誰にでも起こり得るものです。「自分には関係ない」と思わずに知識として持っておくことが大切です。
なぜ認知症と間違われやすいのか
てんかんと聞くと「突然の痙攣(けいれん)」を思い浮かべる方が多いと思います。確かに痙攣はてんかんの代表的な症状ですが、高齢者のてんかんでは痙攣が目立たないことがあります。
高齢者のてんかんでよく見られる症状:
・口をぺちゃぺちゃさせる
・意味のない動きを繰り返す
・どこを見ているかわからない
・反応が鈍い、ぼんやりしている
・最近あった出来事を覚えていない
これらの症状は認知症の症状とよく似ています。「年のせいかな」「認知症かもしれない」と思って受診したところ、てんかんと診断されるケースがあるのはそのためです。
認知症とてんかんの見分け方|3つのポイント
記憶障害がある場合、認知症との区別は難しいですが、以下の3つのポイントに注目することで見分けるヒントになります。
【ポイント①:記憶障害の変動の仕方】
認知症の場合は「昨日は調子が悪かったが今日は比較的良い」というように、ゆっくりとした変動が見られます。一方てんかんの場合は「3分〜30分の短時間」で急な変動を示します。急に症状が現れて短時間で収まる場合はてんかんの可能性があります。
【ポイント②:特徴的な前兆がある】
てんかん発作の前には特徴的な前兆が現れることがあります。
・胸やけ
・既視感(過去の景色が浮かんでくる)
・鮮明で不快な異臭を感じる
・動悸
・頭痛
認知症ではこのような前兆は通常見られません。
【ポイント③:発作後にもうろうとした状態になる】
てんかん発作の後は30分ほどもうろう状態になり、そのまま動き回ってしまうことがあります。認知症の方は異常行動があってももうろうとした状態にはなりません。
現場で経験した事例|治療薬を変えたら改善した
ある患者さんの事例です。ぼーっとしていることが多いことからかかりつけ医に相談したところ認知症と診断され、内服治療が開始されました。治療開始後も症状に大きな改善はなく薬を増量したり抗精神病薬も使用しましたが効果はイマイチ。家族の希望で検査機器の整った物忘れ外来のある病院に紹介され再検査したところ、てんかんと診断されました。抗てんかん薬による治療を開始したところ徐々に表情の変化に豊かさが戻り、発語も増えていきました。
もし認知症の治療を続けているにもかかわらず症状の改善が見られない場合は、主治医や薬剤師にてんかんの可能性についても相談してみることをおすすめします。
疑わしい場合は専門医への受診を
高齢者のてんかんが疑われる場合は脳波検査を行います。脳波の異常が確認されれば抗てんかん薬による治療が開始されます。
特に脳卒中の既往がある方は高齢者てんかんのリスクが高いため、認知症に似た症状が現れた場合は注意が必要です。
「認知症かもしれない」と感じたら認知症専門医だけでなく、てんかんの可能性も念頭に置いて脳神経内科などを受診することをおすすめします。適切な診断と治療により症状が劇的に改善することがあります。
まとめ|認知症だと決めつけずに専門医に相談を
✅ 高齢者てんかんは今後さらに増加していく
✅ 高齢者てんかんの症状は認知症と似ているため見逃されやすい
✅ 記憶障害の変動の仕方・前兆・発作後のもうろう状態が見分けるポイント
✅ 認知症の治療で改善しない場合はてんかんの可能性も考える
✅ 脳卒中の既往がある方は特に注意が必要
「認知症かもしれない」と感じたら一人で抱え込まずに専門医に相談してください。適切な診断と治療で症状が大きく改善することがあります。何かご不明な点があればいつでも薬剤師にも相談してください。

