実況中継!睡眠薬に頼らずに睡眠を改善する方法。睡眠衛生指導と認知行動療法を薬剤師が解説

薬の話

【この記事でわかること】
✅ 不眠の原因になりやすい身近な習慣
✅ 睡眠衛生指導とは何か
✅ 認知行動療法(CBT-I)の具体的な方法
✅ 睡眠薬に頼りすぎることの問題点
✅ 医療側の問題についての現場の本音

「眠れない」という悩みを持つ方は多く、最近では若年層でも多くなってきています。きっかけが分からない、またはきっかけは分かるけど改善できない。そして睡眠薬の服用にたどり着くことになります。

でも実は、睡眠薬に頼る前に試してほしいことがあります。

今回は不眠の原因になりやすい身近な習慣と、薬に頼らずに睡眠を改善するための「睡眠衛生指導」と「認知行動療法(CBT-I)」についてお伝えします。

薬局でよく見かける不眠症となりやすい原因をいくつかご紹介します。思い当たるものはありませんか?

【カフェインの摂りすぎ】
夕食後にコーヒーやお茶を飲んでいる方は多いですが、カフェインは就寝の4時間前以降は控えた方が良いとされています。

【寝落ちの習慣】
リビングのソファやダイニングテーブルでうとうとしてからベッドに移動する「寝落ち」の習慣がある方は、寝室と睡眠の結びつきが弱くなり不眠につながることがあります。

【日中の活動量の低下・昼寝】
特に高齢者に多いパターンです。日中の活動量が減り昼寝が増えると夜に眠れなくなります。生理的な変化もありますが生活リズムの見直しで改善できることがあります。

【就寝前のスマホ・ショート動画】
若年層に多いのが布団に入ってからSNSのショート動画を見続けるパターンです。気づいたら外が明るくなっていた、という経験がある方もいるのではないでしょうか。ブルーライトによる覚醒だけでなく動画の刺激自体が脳を興奮させます。

【眠くないのに早く布団に入る】
「早く寝なければ」と眠くないのに布団に入ることで逆に脳が覚醒してしまいます。これが不眠の悪循環につながることがあります。

睡眠衛生指導とは質の良い睡眠をとるために生活習慣の改善を目的とした指導のことです。不眠治療の初期段階として行われます。

主な指導項目:
✅ 定期的な有酸素運動を行う
✅ 音・光・温度など寝室環境を整える
✅ 空腹のまま寝ない
✅ カフェインは就寝の4時間前までにする
✅ 就寝前の飲酒を控える
✅ 床についてから考え事をしない

ただしこの指導内容は慢性不眠症の場合にはあまり効果がなく、あくまで不眠治療の初期段階の最低限のものです。これだけで改善がなければ次のステップである認知行動療法に進みます。

認知行動療法(CBT-I)とは、睡眠に対する間違った認識を正すアプローチです。

【刺激制御療法:寝室と睡眠の結びつきを強くする】
眠くないのに早めに布団に入り、テレビを見たり本を読んだりすると脳が覚醒してしまい寝つきが悪くなります。これを繰り返すと寝室に向かうだけで目が冴えてしまうようになります。

逆に寝室以外の場所ではいつの間にか寝てしまうのに寝室では眠れない、という悪循環が生まれます。

対策:
✅ 眠くなるまで寝室に入らない
✅ 布団に入って15分眠れなければ一旦部屋を出て眠くなるまで寝室に入らない
✅ 寝室はあくまで「眠る場所」として習慣づける

【漸進的筋弛緩法:体の深部体温を下げて眠りやすくする】
布団に入ったら腕・足・顔に5秒くらい力を入れてゆっくり力を抜くことを繰り返します。力を抜いた時に体から熱が逃げて深部体温が下がりやすくなり寝つきが良くなります。

認知行動療法は慢性不眠症に対して薬と同等またはそれ以上の効果があるとされています。

不眠の相談をして睡眠薬が処方されること自体は問題ではありません。ただ現場でよく見かけるのが、不眠の原因がわからないまま睡眠薬に頼ってしまうケースです。

薬を飲むと眠れるようになりますが、原因が解決されていないので薬をやめるとやはり眠れなくなります。結果として毎日飲み続けることになり、依存状態になってしまう方がいます。

睡眠薬は正しく使えば大切な治療薬ですが、原因を特定せずに使い続けることには注意が必要です。

これは私の個人的な見解ですが、不眠症治療は医療提供側にも問題はあると思っています。

睡眠薬を希望する患者さんに対して、医師も薬剤師も薬の説明はしますが不眠の原因を深掘りしないことが多いように感じます。睡眠衛生指導や認知行動療法を積極的に指導するケースは少ないのが現状です。

かくいう私自身も不眠で悩む全ての方に同じように睡眠衛生指導を行えているかと言われれば、正直相談されたら答える、程度になってしまっています。

読者の方も「薬局でそこまで詳しく聞かれたことはない」という方が多いのではないでしょうか。

薬剤師は睡眠薬の種類や効き方・副作用については詳しいですが、睡眠衛生指導、認知行動療法の指導が行える薬剤師は多くないと思います。

✅ まず不眠の原因になっている習慣がないか確認する
✅ カフェイン・寝落ち・スマホ・早めに布団に入る習慣を見直す
✅ 睡眠衛生指導で改善しなければ認知行動療法を試してみる
✅ 眠くなるまで寝室に入らない・漸進的筋弛緩法を実践する
✅ 睡眠薬は正しく使えば大切な治療薬だが原因の特定も大切

補足ですが、すでに睡眠薬を服用されている方は急に止めると不眠症の悪化を招くことがありますので医師と相談の上、服薬を続けながら少しずつチャレンジして下さい。
また最近は体への負担が少なく、依存症にもなりにくいお薬が多く発売されてきています。辛い時は薬に頼ることも大切です。無理のない範囲で参考にして頂けたらと思います。

タイトルとURLをコピーしました