この記事でわかること
- 2026年のインフルエンザ流行が「異例」といわれる理由
- ワクチンの効果が出るまでの期間と、続く期間
- 今シーズンのおすすめ接種タイミング
- 4価から3価に変わったワクチンの中身
- 子ども・高齢の方の接種で知っておきたいこと
「インフルエンザワクチンは10月から」——毎年そう聞いている方は多いと思いますが、2026年はこの常識が通用しない年になっています。
今回は、今シーズンの異例の流行状況を踏まえて、ワクチンをいつ打てばいいのかについてお伝えします。
2026年は、例年よりかなり早く流行が始まっています
例年、インフルエンザの流行入りは12月頃ですが、2026年は8月の時点ですでに全国的な流行入りの目安を超えました。東京都では9月中旬に注意報レベルに達し、大阪府でも9月に流行期入りが発表されています。夏の終わりから秋にかけてこれほど早く流行が広がるのは、近年では異例の状況です。

「まだ夏の終わりだから大丈夫」という感覚は、今シーズンに関しては当てはまらないかもしれません。
ワクチンの効果が出るまでの時間、続く期間
インフルエンザワクチンは、接種してすぐに効果が出るわけではありません。抗体が十分にできるまでに、約2週間かかるとされています。効果が続く期間は、接種後およそ3〜5か月とされています。
例年であれば、12月下旬〜3月上旬の流行のピークに合わせて、10月〜12月上旬に接種するのが目安とされてきました。しかし今シーズンは、すでに最初の流行の波が来ているため、この「例年通りのタイミング」を待っていると、最初の波に間に合わない可能性があります。

ワクチンは打った瞬間から効くわけではありません。今シーズンは特に、効果が出るまでの2週間を見越して、早めに動くことが大切です。
今シーズンは「打てる時期になったら、早めに」が基本
今シーズンのように早くから流行している年は、接種できる状態になり次第、早めに受けることが勧められています。9〜10月中に接種しておけば、効果の持続期間を考えても、冬に来ると見られる次の波までカバーしやすくなります。
「早く打ちすぎると、冬のピークまで効果がもたないのでは」と心配される方もいます。確かに効果は時間とともに少しずつ弱まりますが、今シーズンはすでに流行が始まっているため、目の前の流行に備えることの方が大切だと考えられています。
すでに接種の機会を逃してしまった方も、12月に入ってからの接種が「遅すぎる」というわけではありません。流行は年明けまで続くことが多いため、今からでも接種する価値は十分にあります。

「早すぎるかも」と迷って先延ばしにするより、打てるときに打っておく。今年はそれくらいの感覚でちょうどいいと思います。
ワクチンの中身も、実は変わっています
あまり知られていませんが、2025-2026シーズンから、日本のインフルエンザワクチンは、長年の「4価」(A型2種+B型2種)から「3価」(A型2種+B型1種)に変更されています。これは、B型のうち「山形系統」が2020年以降、世界的に検出されなくなったというWHOの評価に基づくもので、2026-2027シーズンもこの3価の構成が続いています。

「種類が減ったから効果が落ちた」というわけではなく、実際に流行しているウイルスに合わせて中身を見直した、という変更です。
子どもの接種、注射が苦手な場合の選択肢
13歳未満のお子さんは、通常2回接種が基本とされています。2回目は1回目から2〜4週間ほど空けるのが一般的なため、今シーズンは特に、1回目を早めに済ませておくと安心です。13歳以上は1回接種が基本です。
また、注射が苦手なお子さんに向けて、鼻にスプレーするタイプの「フルミスト点鼻液」という選択肢もあります。2023年に日本で承認された比較的新しいワクチンで、対象年齢は2歳以上19歳未満です。喘息のあるお子さんや妊娠中の方などは対象外となるため、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

お子さんの2回接種は、2回目までに時間がかかります。今年は「1回目を早めに」を意識してみてください。
高齢の方は、定期接種の対象です
65歳以上の方などは、インフルエンザワクチンが予防接種法に基づく定期接種の対象となっており、自治体の助成を受けて接種できます。自己負担額や接種期間は自治体によって異なるため、お住まいの市町村の案内を確認してください。高齢の方は重症化しやすいため、特に早めの接種を検討していただきたいところです。
ご自身で医療機関に行くのが難しい方や、施設に入所されている方の場合は、ご家族や施設の職員さんが早めに段取りを確認しておくことも大切です。今シーズンは流行が早いため、施設内で感染が広がる前に接種を済ませておくことが、ご本人だけでなく周りの方を守ることにもつながります。

助成の対象や期間はお住まいの地域で違います。市町村から届く案内や広報を、一度確認してみてください。
薬剤師にできること
例年と流行の状況が大きく違う今シーズンは、「いつ打てばいいのか分からない」と迷う方も多いと思います。接種のタイミングについて迷ったときは、かかりつけの薬局でも相談に乗ることができます。
持病がある方や、過去にワクチンで体調を崩したことがある方、ほかの予防接種との間隔が気になる方は、接種前に一度相談していただくとより安心です。
よくある疑問
Q1. 去年ワクチンを打ったので、今年は打たなくても大丈夫ですか?
いいえ、毎年新しく接種する必要があります。ワクチンの効果は数か月で薄れていくうえ、流行するウイルスの型も年によって変わるため、前年の接種だけでは十分な備えにはなりません。
Q2. 一度インフルエンザにかかったら、その冬はもう安心ですか?
必ずしもそうとは言えません。インフルエンザにはA型・B型があり、A型の中にも複数の型があるため、シーズン中に別の型に感染する可能性もあります。一度かかった後も、基本的な対策は続けることをおすすめします。
Q3. ワクチンを打ったのにインフルエンザにかかりました。意味がなかったのでしょうか?
ワクチンは感染を完全に防ぐものではありませんが、発症や重症化のリスクを下げる効果が期待されています。かかってしまった場合でも、症状が軽く済んでいる可能性があります。
Q4. 妊娠中や授乳中でも、ワクチンを打てますか?
注射タイプのインフルエンザワクチンは、妊娠中のどの時期でも接種できるとされています。妊娠中はインフルエンザにかかると重症化しやすいため、むしろ接種が勧められています。授乳中の方も接種して問題ないとされています。ただし、鼻から入れるフルミストは妊娠中の方には使えません。心配な点があれば、かかりつけの産婦人科の先生に確認してください。
Q5. 新型コロナのワクチンと同時に打っても大丈夫ですか?
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは、同時に接種することができるとされています。別々の日に打つ場合も、間隔を空ける決まりはありません。「2回も病院に行くのは大変」という方は、同時接種に対応しているか、医療機関に問い合わせてみるとよいと思います。
まとめ
✅2026年は、例年よりかなり早くインフルエンザが流行しています
✅ワクチンの効果が出るまでには約2週間かかり、効果は3〜5か月ほど続きます
✅今シーズンは「接種できる時期になったら早めに」が基本の考え方です
✅13歳未満のお子さんは2回接種のため、1回目を早めに
✅ワクチンは2025年シーズンから3価に変更されています

「今年はいつ打てばいいんだろう」と迷ったときは、遠慮なく薬局で相談してください。例年とは違う年だからこそ、早めの行動が安心につながります。
【参考文献】
・厚生労働省「インフルエンザQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
・日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 産科編」
・クリニックプラス「2026年インフルエンザ流行状況」
https://clinicplus.health/columns/influenza-trend-2026
・五良会クリニック白金高輪「2026-2027シーズン インフルエンザワクチン接種スケジュール」
https://goryokai-shirokanetakanawa.jp/blog/2026-2027-influenza-vaccine-schedule/
