誤嚥性肺炎はなぜ起こる?在宅でできる予防と薬剤師にできることを解説

介護と薬

この記事でわかること

  • 誤嚥性肺炎とは何か、なぜ高齢者に多いのか
  • 誤嚥性肺炎を招きやすい薬・服薬時の注意点
  • 誤嚥性肺炎を疑うサインと受診の目安
  • 在宅でできる口腔ケアと予防のポイント
  • 薬剤師ができるサポート

在宅訪問をしていると、「肺炎で入院した」という連絡を受けることが少なくありません。高齢者の肺炎の多くは、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまう「誤嚥」が引き金になっています。

今回は在宅訪問薬剤師としての経験から、誤嚥性肺炎の原因と、ご家庭でできる予防のポイントについてお伝えします。

誤嚥性肺炎とは?高齢者の肺炎の多くを占める理由

誤嚥性肺炎とは、食べ物・唾液・胃液などが誤って気管や肺に入り込むことで起こる肺炎です。高齢になると飲み込む力(嚥下機能)が低下し、誤嚥が起こりやすくなります。

厚生労働省の資料によると、肺炎で亡くなる方の約7割は75歳以上の高齢者で、高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎とされています。加齢だけでなく、脳卒中の後遺症など嚥下障害の原因となる病気をお持ちの方に多くみられるのも特徴です。

典型的な肺炎では発熱・咳・呼吸苦などの症状がみられますが、高齢者の誤嚥性肺炎では発熱や咳がはっきり出ないまま、なんとなく元気がない、食欲が落ちる、といった非典型的な症状で見つかることも少なくありません。「いつもと様子が違う」と感じたら、早めに医療機関に相談することが大切です。

Ph.そら
Ph.そら

誤嚥性肺炎は「むせやすい」方だけの病気ではありません。むせずに誤嚥する「不顕性誤嚥」も少なくないため注意が必要です。

誤嚥のリスクを高める薬もある

服用している薬の中には、嚥下機能や意識レベルに影響を与え、誤嚥のリスクを高めるものがあります。代表的なのが、抗精神病薬・睡眠薬・抗不安薬など、眠気や筋弛緩作用を伴う薬です。

また、抗コリン作用のある薬は唾液の分泌を減らし、飲み込みにくさにつながることがあります。薬が新しく増えたときや、種類が多いときほど、こうした影響が重なりやすくなります。

Ph.そら
Ph.そら

薬を減らしたり変更したりすることで、誤嚥のリスクを下げられる場合があります。気になる薬があれば、自己判断で中止せず、薬剤師や医師に相談してください。

誤嚥性肺炎を疑うサインと受診の目安

次のような様子がみられたときは、誤嚥性肺炎の可能性を考え、早めに受診を検討してください。

・食事中にむせることが増えた
・食後にゼロゼロとした呼吸音がする
・発熱が続く、または微熱がだらだらと続く
・普段より元気がなく、ぼんやりしていることが多い
・食事量や水分摂取量が急に減った

高齢者の場合、症状がはっきりしないまま急に状態が悪化することもあるため、「様子を見る」ことに不安を感じたら、かかりつけ医や訪問看護師に早めに相談することをおすすめします。

在宅でできる誤嚥性肺炎の予防

口腔ケア

口の中の細菌が誤嚥時に肺に入り込むことで肺炎を引き起こすため、口腔ケアは誤嚥性肺炎予防の基本です。毎食後の歯磨きに加え、舌や粘膜のケアも意識すると効果的です。歯ブラシだけでなく、スポンジブラシや保湿ジェルを併用すると、粘膜を傷つけずにケアできます。義歯を使用している方は、義歯自体の清掃も忘れずに行いましょう。

食事の工夫

とろみ剤を活用して飲み込みやすい形状に調整したり、食事中の姿勢(顎を引いた姿勢)を意識したりすることで、誤嚥のリスクを減らすことができます。一口の量を少なめにすること、食材を細かく刻みすぎず適度なまとまりを持たせることも、誤嚥予防のポイントです。

服薬時の姿勢と工夫

服薬時も誤嚥が起こりやすい場面の一つです。上体を起こした姿勢で服用する、とろみをつけた水で服薬するなど、食事と同じような配慮が必要です。錠剤が飲み込みにくい場合は、服薬用のゼリーを活用する方法もあります。

Ph.そら
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訪問先では、錠剤が飲み込みにくい方に、剤形の変更(口腔内崩壊錠や貼り薬など)を提案することがあります。飲みにくさを我慢せず、まずは相談してほしいです。

薬剤師にできるサポート

在宅訪問の現場では、誤嚥性肺炎の予防のために薬剤師としてできることがいくつかあります。

一つは、服用中の薬の見直しです。眠気やふらつきを引き起こす薬が多く処方されている場合、処方医に情報提供し、減薬や薬剤変更を提案することがあります。

もう一つは、剤形の工夫です。錠剤が飲み込みにくい場合は、口腔内崩壊錠(口の中で溶けるタイプ)や貼付薬、液剤への変更を提案することで、服薬時の誤嚥リスクを減らせる場合があります。

また、口腔ケア用品の選び方やとろみ剤の使い方について、ご家族へ具体的にアドバイスすることも、訪問薬剤師の重要な役割の一つだと感じています。

まとめ

✅誤嚥性肺炎は高齢者の肺炎の多くを占め、加齢による嚥下機能の低下が主な原因です
✅発熱や咳がはっきり出ない非典型的な症状で見つかることもあります
✅眠気やふらつきを伴う薬は誤嚥のリスクを高めることがあります
✅口腔ケア・食事の工夫・服薬時の姿勢が予防の基本です
✅飲み込みにくさや様子の変化を感じたら、薬剤師や医師に相談しましょう

Ph.そら
Ph.そら

誤嚥性肺炎は、ちょっとした工夫の積み重ねで防げることがたくさんあります。口腔ケアや食事の姿勢、服薬のタイミングなど、気になることがあれば遠慮なく薬剤師に相談してください。

【参考文献】
・厚生労働省「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 資料」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135467.pdf

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