この記事でわかること
- クーラー病とは何か、なぜ高齢者に多いのか
- 冷たいものの摂りすぎがクーラー病を悪化させる理由
- アイス・冷や麦ばかりの偏食が招く栄養不足
- 今日からできる対策
- 服用中の薬との関係
「最近、体がだるい」「食欲が出ない」——そんな不調が続くと、自律神経失調症を疑う方も多いと思います。自律神経の乱れにはストレスやホルモンバランスなど、さまざまな原因が考えられますが、夏場に見落とされがちなのが「クーラー病」です。
今回は、クーラー病の仕組みと対策、そして特に注意したい方の特徴についてお伝えします。
クーラー病とは、誰にでも起こりうる不調
クーラー病(冷房病)とは、屋外と室内の温度差に自律神経がついていけず、体にさまざまな不調が現れる状態です。年齢を問わず起こる現象で、オフィスの冷房と外回りの温度差にさらされる働き盛りの世代でも、よくみられます。
本来、体は暑いときに血管を広げて熱を逃がし、寒いときに血管を縮めて熱を保つことで体温を調節しています。この調節を担っているのが自律神経です。冷房の効いた室内と暑い屋外を何度も行き来すると、この切り替えが頻繁に求められ、自律神経が疲弊してしまいます。

「夏なのに調子が悪い」と感じたとき、それは風邪ではなく冷房による自律神経の乱れかもしれません。
クーラー病の主な症状
クーラー病では、次のような症状がみられます。
✅だるさ、疲れやすさ
✅食欲不振、腹痛、下痢
✅肩こり、腰痛
✅不眠
✅鼻水・咳・のどの痛みなど、風邪のような症状
目安として、室内と屋外の気温差が5℃以上になると、自律神経に負担がかかりやすいとされています。冷房の設定温度を下げすぎず、外気との差を意識することが、基本的な予防につながります。
冷たいものの摂りすぎも、症状を悪化させる要因に
すでに自律神経が乱れて胃腸の働きが落ちているところに、冷たい飲食物で内臓をさらに冷やすと、食欲不振や下痢がひどくなりやすくなります。アイスクリームや冷たい麺類ばかりを口にする習慣は、クーラー病の症状を悪化させる要因の一つになり得ます。

冷たいものが欲しくなる気持ちは自然なことですが、摂りすぎるとかえって体調を崩しやすくなることがあります。
特に高齢者は注意が必要です
クーラー病は誰にでも起こりうる一方、高齢者は体温調節機能そのものが低下しているため、特になりやすいとされています。在宅訪問の現場でも、夏になると「アイスばかり」「毎日冷や麦」という高齢のご夫婦の食生活をよく見かけます。
これは温度の問題というより、栄養バランスの偏りの問題でもあります。加齢によって喉の渇きを感じにくくなったり、暑さで食欲そのものが落ちたりすることも、こうした偏食に拍車をかけます。冷たい麺類は糖質中心で、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足しがちになり、栄養が偏った状態が続くと、いわゆる「夏バテ」を招いて、だるさや食欲不振がさらに強まる悪循環につながります。

「温かいものが良い」というより、「品数やタンパク質を増やすきっかけになるから良い」と考えると分かりやすいと思います。
服用中の薬が関係していることも
高齢者の場合、食欲不振や下痢が続くとき、実は服用中の薬が影響していることもあります。利尿薬を服用している方は、もともと脱水傾向になりやすく、食事量が減ると影響が出やすくなります。また、便秘薬や胃腸に作用する薬を服用している方は、食欲不振や下痢の原因が薬によるものか、クーラー病や偏食によるものか、判断が難しいことがあります。
「最近食欲がない」「お腹の調子が悪い」と感じたときは、食生活だけでなく、今飲んでいる薬も含めて、薬剤師に相談してみてください。
今日からできる対策
年齢を問わず、次のような工夫がクーラー病の対策につながります。
✅冷房の設定温度は、外気との差が5℃以内になるように意識する
✅冷房が直接体に当たらないよう、カーディガンなどで首元・足元を温める
✅就寝時は冷房のタイマーを活用し、冷えすぎを防ぐ
✅冷たい飲み物ばかりでなく、常温や温かい飲み物も取り入れる
高齢の方は、これに加えて次の点も意識してみてください。
✅冷たい麺類を食べるときは、卵・肉・オクラなど、タンパク質やビタミンが摂れる具材をプラスする
✅味噌汁など温かい一品を添える
すべてを完璧にする必要はありません。できるところから少しずつ意識してみてください。

「冷や麦に卵を一つ足す」だけでも、栄養バランスは変わってきます。無理のない範囲で工夫してみてください。
よくある疑問
どんな症状が出たら受診した方がいいですか?
食欲不振や下痢が数日以上続く場合、体重が急に減ってきた場合、あるいは高熱を伴う場合は、クーラー病や単なる偏食では説明がつかない可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
高齢の家族が偏食気味です。どう声をかければいいですか?
「ちゃんと食べて」と言うだけでは、なかなか行動は変わりにくいものです。「これに卵を足してみたら」など、今の食事に少し追加するだけの具体的な提案の方が、受け入れてもらいやすいことが多いです。
アイスは食べてはいけませんか?
まったく食べてはいけないわけではありません。問題なのは「アイスだけで食事の代わりにしてしまう」ことです。食後のデザートとして少量楽しむ分には、過度に心配する必要はありません。
離れて暮らす親が心配です。電話でどんなことを聞けばいいですか?
「ちゃんと食べてる?」という聞き方だと、「食べてるよ」という一言で終わってしまいがちです。「今日は何を食べた?」と具体的に聞くと、実態が見えやすくなります。「冷や麦ばかり」という答えが続くようなら、次に会うときに食材を届けたり、宅配の食事サービスを提案したりするなど、具体的なサポートにつなげやすくなります。
まとめ
✅クーラー病は年齢を問わず起こりますが、高齢者は特になりやすい傾向があります
✅冷たいものの摂りすぎは、クーラー病の症状を悪化させることがあります
✅高齢者はアイスや冷や麦ばかりの偏食から、栄養不足による夏バテを招くこともあります
✅温度差対策に加え、冷たい麺類にタンパク質をプラスするなどの工夫を取り入れましょう

「夏なのに調子が悪い」と感じたら、ちょっとした工夫を試すタイミングかもしれません。気になることがあれば、遠慮なく相談してください。
【参考文献】
・アリナミン「クーラー病(冷房病)とは?主な症状や原因、だるさや疲れの対処方法について解説」
https://alinamin.jp/tired/cooler-disease.html
・長寿の里「クーラー病(冷房病)の症状とは?今すぐできる対策&健康的な夏の過ごし方」
https://www.chojyu.com/column2020/column-details-230801.html

