| 📋 この記事でわかること |
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✔ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何か・メカニズム ✔ 放置すると心筋梗塞・脳卒中・糖尿病につながる理由 ✔ SASを疑うべき症状・チェックポイント ✔ CPAP(シーパップ)治療の効果と続かない理由 ✔ 在宅検査で診断できるようになった |
「寝ているときに呼吸が止まることがあるらしい」「いびきがひどいと言われる」
こんな話を聞いて「ちょっと呼吸が止まるだけでしょ?」と思っていませんか?
実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放置すると心筋梗塞・脳卒中・糖尿病など命に関わる病気のリスクを大幅に高める、決して軽視できない疾患です。日本の潜在患者は200万人以上と推定されていますが、実際に治療を受けているのはそのうち約2割にとどまるとされています。
この記事では、SASのメカニズム・危険性・治療法・続けにくいCPAP治療の対策まで、わかりやすくお伝えします。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何か
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる(無呼吸)または呼吸が浅くなる(低呼吸)状態が続く病気です。
【診断の基準】
・1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸がある
・または一晩7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸がある
無呼吸の多くは「気道が塞がる」ことで起きます。寝ているときに舌や喉の筋肉が緩むと、気道が狭くなって呼吸が止まります。これを「閉塞性SAS」と言い、SASの9割以上を占めます。
【重症度の分類(AHI:無呼吸低呼吸指数)】
・軽症:5〜15回/時間
・中等症:15〜30回/時間
・重症:30回以上/時間
【なりやすい人】
・肥満の方(首周りに脂肪がつきやすい)
・顎が小さい・後退している方
・鼻づまりが慢性的にある方
・飲酒習慣がある方
・男性(女性の約2〜3倍多い)

「ちょっと呼吸が止まるだけ」という認識が一番怖いです。重症の方では1時間に30回以上呼吸が止まっていることもあります。毎晩これが続いていると、体への負担は相当なものになります。
「ただいびきをかくだけ」ではない・放置すると命に関わる理由
睡眠中に呼吸が止まると、体は低酸素状態になります。すると脳が危険を察知して「覚醒反応」を起こし、交感神経が活発になって血圧が急上昇します。これが毎晩繰り返されることで、以下のような深刻な合併症につながります。
【高血圧】
SAS患者の約50%が高血圧を合併しています。夜間の血圧上昇が繰り返されることで動脈硬化が進み、高血圧が慢性化します。
【心筋梗塞・不整脈】
低酸素状態が心臓に負担をかけ、心筋梗塞や不整脈(心房細動など)のリスクを高めます。
【脳卒中】
動脈硬化の進行により、脳梗塞・脳出血のリスクが上昇します。
【糖尿病】
低酸素状態と慢性的な睡眠不足によってインスリンの働きが悪くなり、糖尿病・脂質異常症のリスクが高まります。いびきをかく人は糖尿病リスクが約2倍になるという報告もあります。
【日中の眠気・交通事故】
熟睡できないため日中に強い眠気が出やすく、運転中の居眠り事故リスクは一般の約2.6倍とされています。
⚠️ SASは「寝ているときの問題」ではなく、「起きているときの生活・命」に直結する病気です。

「血圧の薬を飲んでいるのになかなか下がらない」という方の中に、SASが原因になっているケースがあります。SASを治療したら血圧が改善したという例も少なくありません。思い当たる方はぜひ一度検査を受けてみてください。
SASを疑うべき症状・チェックポイント
以下の症状に心当たりがある方はSASの可能性があります。
【睡眠中の症状(家族に指摘される)】
・大きないびきをかく
・睡眠中に呼吸が止まっていると言われる
・寝ているのに何度も目が覚める
・寝汗が多い
【起床時・日中の症状】
・朝起きたときに頭が重い・頭痛がある
・十分寝たはずなのに日中に強い眠気がある
・集中力・記憶力が低下している
・気分が落ち込みやすい・イライラしやすい
💡 一人暮らしの方は自分では気づきにくいため、「日中の強い眠気」「朝の頭重感」が続く場合は受診を検討してください。スマートフォンのいびき録音アプリを使って確認する方法もあります。

「疲れているだけだろう」「年のせいだろう」と思って放置している方が多いです。特に日中の強い眠気が続いている方は、一度耳鼻科や呼吸器内科・睡眠外来に相談してみてください。
診断方法・在宅で検査できるようになった
SASの診断には睡眠中の呼吸状態を調べる「睡眠検査」が必要です。
【簡易検査(自宅で可能)】
自宅で行う簡易型の検査装置を使って、いびき・血中酸素濃度・呼吸の状態を記録します。費用・負担が少なく、自宅で普段通りに眠れるメリットがあります。
【精密検査(入院・通院)】
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と呼ばれる詳細な検査です。脳波・心電図・眼球運動など多くの項目を同時に記録します。2026年3月には在宅で行える精度の高いPSG検査機器が保険収載され、より多くの方が受けやすくなりました。
⚠️ 簡易検査でSASが疑われた場合は、精密検査でAHI(無呼吸低呼吸指数)を確認してCPAP適応かどうかを判断します。

「入院して検査するのが大変で…」という方も多かったですが、在宅でできる検査が広がってきました。まずはかかりつけ医に相談してみてください。
CPAP(シーパップ)治療・続かない理由と対策
SASの中等症〜重症の方に対する第一選択治療がCPAP(持続陽圧呼吸療法)です。睡眠中にマスクを装着し、気道に空気を送り続けることで無呼吸を防ぎます。
【CPAPの効果】
・無呼吸・いびきの解消
・日中の眠気・集中力の改善
・高血圧・心血管疾患リスクの低下
・糖尿病の血糖コントロール改善
【続かない理由と対策】
① マスクが不快・圧迫感がある
→ マスクの種類を変える(鼻マスク・フルフェイスマスク・鼻ピローなど)。自分に合ったマスクを医療機関と相談して選ぶことが大切です。
② 空気の圧力が強くて息苦しい
→ CPAP機器の圧力設定を調整してもらう。自動調整タイプ(APAP)への変更も選択肢です。
③ 旅行・出張のときに持ち歩くのが面倒
→ 小型軽量タイプのCPAP機器もあります。
④ 「眠れているから大丈夫」と思ってやめる
→ CPAPはSASを根本的に治す治療ではありません。やめると効果はほぼ消失します。症状が落ち着いていても継続が必要です。
⚠️ マウスピース療法:軽症〜中等症の方や、CPAPが続けられない方の選択肢として「マウスピース(口腔内装置)」があります。就寝中に装着することで気道を確保します。歯科医院で作製します。

「CPAPをつけたら眠れなくなった」という方は、マスクの種類や圧力の設定を見直すことで改善するケースが多いです。一人で悩まず、担当医に正直に話してみてください。続けることが治療の最大のポイントです。
まとめ
✅ SASは「ちょっと呼吸が止まるだけ」ではなく、放置すると心筋梗塞・脳卒中・糖尿病のリスクが高まる
✅ 日本の潜在患者は200万人以上、しかし治療を受けているのは約2割
✅ 大きないびき・日中の強い眠気・朝の頭重感が続くなら受診を検討する
✅ 在宅でできる睡眠検査が広がり、診断のハードルが下がってきた
✅ CPAPは第一選択治療。やめると効果はほぼ消えるため継続が重要
✅ マスクの不快感・圧力の問題は調整で改善できることが多い

「いびきがひどい」「日中眠くてつらい」という方は、ぜひ一度耳鼻科・呼吸器内科・睡眠外来に相談してみてください。早めに対処することが、将来の大きな病気を防ぐことにつながります。
【参考文献・出典】
・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020(日本呼吸器学会)
・睡眠時無呼吸症候群について(日本医科大学呼吸ケアクリニック)
https://rcc.nms.ac.jp/visit/maincare/disease03
・睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症(SAS対策支援センター)
https://www.sas-support.or.jp/column/hypertension/

