この記事でわかること
- プラセンタ注射とは何か
- 保険適用になるケースとならないケース
- 美容目的の効果に医学的根拠はあるのか
- 知っておきたい献血への影響
- よくある疑問
「病院でプラセンタを打っている」という方は少なくありません。窓口でも、「これから受けようと思っているけど、美容効果は本当にあるの?」「保険は使えるの?」といった質問を受けることがあります。
今回は、プラセンタ注射の保険適用の範囲と、美容目的での効果について、正直にお伝えします。
プラセンタ注射とは
プラセンタ注射は、ヒトの胎盤(プラセンタ)から抽出した成分を注射する治療法です。日本国内で医薬品として承認されている製剤には、「メルスモン」と「ラエンネック」の2種類があります。それぞれ承認されている効能・効果が決まっており、メルスモンは更年期障害・乳汁分泌不全、ラエンネックは慢性肝疾患における肝機能の改善が承認された用途です。
いずれも、国内の健康な妊婦から提供された胎盤をもとに製造されており、感染症のスクリーニング検査など、安全性を確保するための工程を経て製剤化されています。

プラセンタ注射と一言でいっても、実は薬としての「正式な適応」は更年期障害や肝機能障害であり、美容目的は承認された使い方ではありません。
保険適用になるケース、ならないケース
保険が適用されるのは、承認された病名に対して使用する場合に限られます。具体的には、婦人科などで更年期障害と診断され、メルスモンによる治療が必要と判断された場合や、慢性肝疾患に対してラエンネックを使用する場合です。
一方、美容・アンチエイジング目的で使用する場合は、たとえ同じ薬剤を使っていても、承認された使い方(適応)から外れるため、保険は適用されず自由診療となります。「更年期っぽい症状もあるし美容にも興味がある」という場合でも、目的が美容であれば自由診療扱いになるのが基本です。

同じ薬でも、目的によって保険が使えるかどうかが変わります。迷ったときは、受診時に目的をはっきり伝えることが大切です。
美容目的の効果に、医学的根拠はあるのか
更年期障害や肝機能障害への効果については、臨床試験に基づいたデータがあり、承認の根拠にもなっています。一方、美容・アンチエイジング目的での効果については、更年期障害のような臨床試験に基づいた確立された医学的根拠は、現時点では十分とは言えません。
プラセンタにはアミノ酸や成長因子などが豊富に含まれているため、理論的に肌へのよい影響が期待される、という説明がされることが多いですが、これは「期待される」段階の話であり、効果を保証するものではありません。「打てば必ず美肌になる」といった説明には、慎重に向き合った方がよいと思います。

美容目的での効果は、更年期障害のように臨床試験で裏付けられたものではなく、「期待されている」段階の話です。効果を期待しすぎず、参考程度に捉えるのがよいと思います。
知っておきたい献血への影響
プラセンタ注射を受けるうえで、意外と知られていないのが、献血に関する制限です。プラセンタ注射(メルスモン・ラエンネックいずれも)を一度でも受けると、その後は献血ができなくなります。これは、未知の感染症リスクを考慮した安全対策上の措置とされています。
多くの医療機関では、この点について同意書への署名を求めています。しかし、美容クリニックなどで軽い気持ちで受けた場合、この説明を十分理解しないまま同意してしまうケースもあるようです。

「知らずに受けて、後から献血できないと知って驚いた」という声を耳にすることがあります。受ける前に、この点は必ず確認してほしいです。
副作用について
プラセンタ注射は、比較的副作用が少ないとされる治療ですが、注射部位の痛みや発赤といった局所的な症状が報告されています。ヒト由来の成分を使用するため、アレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。体調に異変を感じた場合は、我慢せず医療機関に相談してください。
よくある疑問
これから受けようと思っていますが、注意点はありますか?
美容目的で受ける場合は自由診療になること、そして一度受けると献血ができなくなることの2点は、必ず事前に理解しておいてください。そのうえで、効果への期待値は「必ず効く」ではなく「人によって感じ方に差がある」という前提で考えていただくのがよいと思います。
更年期の症状があるのですが、保険で受けられますか?
婦人科などを受診し、更年期障害と診断されたうえで、メルスモンによる治療が必要と判断されれば、保険適用で受けられる場合があります。まずは婦人科に相談してみてください。
男性でも受けられますか?
男性が受けることも可能です。ただし、メルスモンの保険適用は女性の更年期障害・乳汁分泌不全が対象のため、男性が受ける場合は基本的に自由診療となります。疲労感や男性更年期障害(LOH症候群)への効果を期待して受ける方もいますが、こちらも美容目的と同様、確立された医学的根拠が十分とは言えない段階です。
費用や頻度の目安はどのくらいですか?
自由診療の場合、1回あたり1,500円〜数千円程度が目安とされていますが、クリニックによって価格は異なります。効果を実感するには、一定期間、継続して受けることが多いとされています。始める前に、通院頻度や総額の目安について、クリニックに確認しておくと安心です。
まとめ
✅プラセンタ注射には保険適用となる決まった病名(更年期障害・慢性肝疾患)があります
✅美容目的で使う場合は、同じ薬剤でも自由診療になります
✅美容効果については、更年期障害のような確立された医学的根拠は十分ではありません
✅一度受けると献血ができなくなるため、受ける前に必ず確認しましょう

「なんとなく良さそうだから」で始める前に、保険適用の範囲や献血制限について、きちんと理解したうえで判断してほしいです。分からないことがあれば、遠慮なく相談してください。
【参考文献】
・30クリニック「プラセンタ注射の効果は?更年期・美容への作用と効果的な打ち方・持続期間を解説」
https://30clinic.jp/column/placenta-koka/
・上星川ファミリークリニック「更年期障害のプラセンタ治療」
https://www.kamihoshikawa.clinic/placenta/

