家庭血圧の正しい測り方|血圧手帳・白衣高血圧・仮面高血圧を薬剤師が解説

病気・症状の話

📋 この記事でわかること
家庭血圧と診察室血圧の違い
白衣高血圧・仮面高血圧とは何か
2025年ガイドラインが推奨する正しい測り方
血圧手帳をつける意義と活用法
アプリ自動記録が便利なスマホ連動血圧計

「先生に診てもらったら血圧が高いと言われて、薬が増えてしまいました」

薬局でこんな話を聞くことがあります。よく聞いてみると、ご自宅では血圧はそれほど高くないのに、病院の診察室で測ると数値が上がってしまうというケースが少なくありません。

逆に「診察室では正常なのに、実は家で高い」という方もいます。どちらも、診察室の血圧だけで判断することの限界を示しています。

2025年8月に改訂された高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)でも、家庭での血圧測定の重要性がこれまで以上に強調されました。血圧手帳をつけることが、自分の血圧を正しく知る第一歩です。

家庭血圧と診察室血圧はなぜ違うのか

血圧は、緊張・運動・気温・食事などさまざまな要因で変動します。病院という非日常の場所では、緊張や環境の変化によって血圧が普段より高くなることがあります。また逆に、日常生活での血圧が高くても診察室では正常に出るケースもあります。

白衣高血圧とは

「白衣高血圧」という名前は、医師や看護師が着ている白衣を見ただけで緊張して血圧が上がってしまうことからきています。

病院や診察室での緊張によって血圧が高く出るが、家庭では正常な状態を指します。白衣高血圧の場合、診察室の数値だけを見て降圧薬を処方・増量してしまうと、本来必要ではない薬を飲み続けることになりかねません。実際に薬局で出会う方の中にも「家では普通なのに病院でだけ高い」という方がいます。

⚠️ 白衣高血圧かどうかは、家庭での血圧記録があってはじめてわかります。

仮面高血圧とは

「仮面高血圧」という名前は、診察室では血圧が正常という「仮面」をかぶっているが、実際の日常生活では高血圧が隠れているという意味からきています。

診察室では正常な血圧値でも、日常生活(早朝・夜間・仕事中など)では高血圧になっている状態を指します。仮面高血圧は診察室では発見されないため、治療が遅れるリスクがあります。「病院で問題ないと言われた」と安心していても、家庭血圧が高い場合は注意が必要です。特に早朝の血圧が高い「早朝高血圧」は脳卒中・心筋梗塞のリスクと関係することがわかっています。

Ph.そら
Ph.そら

診察室だけの血圧で「高い・低い」を判断するのは限界があります。家庭血圧の記録があれば、医師も薬剤師もより正確な判断ができます。記録は患者さんを守る大切な情報です。

2025年ガイドラインが推奨する正しい血圧の測り方

日本高血圧学会の高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)では、家庭血圧の測定方法について以下のように推奨されています。

【血圧計の種類】
上腕式(腕に巻くタイプ)を推奨。手首式は姿勢によって測定値がばらつきやすく、正確性の面で劣るとされています。

【測るタイミング】
朝:起床後1時間以内・排尿後・朝食と服薬の前・座って1〜2分安静にしてから
夜:就寝前(入浴直後・食事直後・飲酒後は避ける)

【測り方】
・1回の測定機会に2回測定し、その平均を記録する
・週5日以上の記録を医師・薬剤師に見せることが推奨されている

【目標値(JSH2025)】
・診察室血圧:130/80 mmHg未満
・家庭血圧:125/75 mmHg未満

💡 朝の測定のコツ:「起床→トイレ→座って測定→朝食・服薬」という順番にするだけで、条件がすべて満たされます。

Ph.そら
Ph.そら

「降圧薬を飲んでから測っている」という方が意外と多いです。でも薬を飲む前に測ることで、薬が切れた状態=最も血圧が上がりやすい時間帯の数値がわかります。これが治療効果を判断するうえで最も重要な数値です。

血圧手帳をつける意義

血圧手帳をつけることには、大きく3つの意義があります。

① 白衣高血圧・仮面高血圧を見つけられる
診察室の血圧と家庭血圧を比較することで、どちらのタイプかを判断できます。薬が本当に必要かどうか、また薬の量が適切かどうかの判断材料になります。

② 血圧の変化の「傾向」を把握できる
1回の数値ではなく、数週間・数か月の傾向を見ることが大切です。季節による変動(冬は高くなりやすい)、生活習慣の改善効果なども記録から見えてきます。

③ 医師・薬剤師との連携がスムーズになる
「最近血圧が高い気がする」という感覚ではなく、記録という根拠をもって相談できます。薬の調整・追加・減量の判断に直接役立ちます。

⚠️ 薬局で経験したこと
「血圧の記録をつけていない」という方で、診察室での一時的な高値だけで薬が増えてしまったケースを見てきました。次の受診に血圧手帳を持参して医師に見せることで、「家では問題ない数値です」と伝えられます。記録は患者さん自身が自分を守るための大切な武器です。

Ph.そら
Ph.そら

血圧手帳は薬局でも無料でもらえることがあります。「つけ方がわからない」という方は、ぜひ薬局の薬剤師に声をかけてください。

スマホ連動血圧計なら記録が自動化できる

「手書きで毎日記録するのが面倒」という方には、スマートフォンと連動する血圧計が便利です。

【主なスマホ連動血圧計】
・オムロン(OMRON connect アプリ対応)
 Bluetoothで測定データを自動転送。グラフで傾向を確認できる。iPhone・Android対応。

・テルモ
 NFC通信でスマホにタッチするだけでデータ転送。専用アプリで管理できる。

【メリット】
・測定するだけで自動記録される(手書き不要)
・グラフで血圧の傾向が一目でわかる
・受診時にスマホ画面を見せるだけで済む

💡 アプリに記録が蓄積されていれば、過去数か月分の傾向をその場で医師・薬剤師に共有できます。

⚠️ ガイドラインは上腕式を推奨しています。スマホ連動モデルを選ぶ際も、手首式より上腕式を選ぶことをおすすめします。

Ph.そら
Ph.そら

アプリで記録している人が増えてきています。スマホ連動血圧計はご高齢の方には少しハードルが高いかもしれませんが、スマホが得意な方や家族がサポートできる場合はとても便利です。手書きの血圧手帳でも十分ですので、どちらの方法でも「続けられること」が一番大切です。

まとめ

✅ 診察室血圧だけでは白衣高血圧・仮面高血圧を見逃す可能性がある
✅ 家庭血圧の目標はJSH2025で125/75 mmHg未満に統一された
✅ 朝は服薬前・食事前・排尿後に測定するのが正しい順番
✅ 1回の測定機会に2回測定し平均を記録、週5日以上が推奨
✅ 血圧手帳の記録は「薬が本当に必要か」を判断する根拠になる
✅ スマホ連動血圧計を使えば自動記録で続けやすい

Ph.そら
Ph.そら

「測るだけで記録していない」という方は、今日から始めてみてください。記録が積み上がるほど、あなたの血圧の傾向がわかり、医師・薬剤師がより適切なサポートができるようになります。

【参考文献・出典】
・高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)日本高血圧学会
・日本高血圧学会 家庭血圧測定に関する資料
https://www.jpnsh.jp/guideline.html

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