薬剤師という職業に興味を持っている方、薬学部への進学を考えている方へ。在宅訪問経験約20年の現役管理薬剤師として、薬剤師という職業の実態を本音でお伝えします。華やかな面だけでなく、大変な面も含めてリアルに語ります。
薬剤師になるには
薬剤師になるにはまず薬学部への入学が必須です。薬学部は全国77大学79学部(2021年時点)に設置されており、国立14大学・公立5大学・私立58大学があります。
薬学部は2006年度(平成18年度)より6年制となりました。ただし意外と知られていないかもしれませんが、研究職を希望する場合は4年制で卒業し大学院へ進学するというルートもあります。その場合は薬剤師免許は取得できないのでご注意ください。
6年間の薬学部を卒業後、薬剤師国家試験に合格することで晴れて薬剤師免許を取得できます。国家試験の合格率は例年約70%前後です。薬学部に入学してからも努力が必要です。
薬剤師になってよかったこと
服薬指導の際に患者さんの話を聞いている中で隠れた病気の早期発見に繋がったことや、薬の提案によりずっと続いていたつらい症状がとても良くなった時などに心から感謝されると薬剤師やっていて良かったなぁと思える瞬間があります。
一般的なサラリーマンよりも年収が高いことも薬剤師になってよかったことのひとつです。私が新卒で就職した調剤薬局は年収400万円でした。ものすごく高いかというとそうではありませんが、社会人1年目で手取りが30万円くらいあったのでそれなりに贅沢ができました。
また薬剤師は医療職以外の方からすると意外と尊敬される職業です。医学の知識もそれなりに持っているので家族や知り合いから頼りにされます。
健康食品やサプリメントの知識もあるので「このサプリはぼったくりだな」と気づけるのも薬剤師ならではです(笑)
薬剤師の収入の現実
薬剤師は収入が高いと思われがちですが、伸びが悪いという一面もあります。調剤薬局では定年頃で600〜700万円くらいが相場だと思います。一般的には高収入と言えますし、医療職の中では医師の次に高いのではないかと思いますが、都心部では比較的年収が低めであることが多いようです。
また現在は薬剤師・薬局が多すぎるという統計も出ており、医療職の中では一番AIに取って代わる職業とも言われています。今後収入に関してはあまり明るい話は出ていません。
ただし安定性は比較的高い職業です。しっかり休みが取れてそれなりに高収入を求めるのであれば薬剤師はおすすめです。
収入を伸ばしたいと考える方におすすめなのは転職です。会社によって同年代でも50〜100万円くらい年収に差があります。ただし少しでも良い条件の企業への就職を目指すためには今後は特にキャリアが必要です。真摯に仕事に向き合い積極的に自己研鑽に努め、周りの薬剤師よりも特別な経験を積むことが転職の際には強みになります。
大変なこと・苦労したこと
勉強会や研修会などへの参加です。平日の夜22時くらいまで研修を受けたり、土日も1日がかりの研修があったりと就業時間外の活動もあります。
また会社にもよりますが一人薬剤師や処方箋枚数に対して少数薬剤師の薬局では調剤・服薬指導・薬歴記載に追われ、ひどいと休憩もしっかり取れないところもあります。実際私が働いていた薬局で外来業務が終わるのが21時、溜まった薬歴を書き終わるのが22時過ぎという日々が1年以上続いたこともありました。
大手の調剤薬局で人材が豊富なところではそういったことはあまりないとは思いますが、地方で数店舗しかないような小規模の調剤薬局では珍しくないと思います。ただ今となってはそういった大変だった経験で成長できたと思いますし、どこに転職してもやっていけるという自信も持てました。
薬剤師の未来
現在調剤薬局は大きな変革を求められています。対物業務から対人業務、簡潔にいうと薬と向き合うのでなく患者と向き合うことが重要視されてきています。対人業務を強化するには単に高いコミュニケーション能力が必要というわけではなく、処方設計・チーム医療・介護など、より専門的な知識が必要になります。
ただ薬の知識を蓄えていくだけではやがてAI技術に代替されてしまいます。またそのような薬剤師・薬局は今後少しずつ淘汰されていく流れが見え始めています。
最近はあまり明るい話題が聞こえてこないのですが、薬剤師の未来は決して暗いものではありません。時代の流れに柔軟に対応していき患者ニーズに応えていくことができればまだまだやりがいのある職業だと思います。
まとめ|志高く業務・勉強に励んでほしい
当然ながら医療の現場はどこも厳しい世界です。新米薬剤師の方・現役薬学部生・薬剤師になりたいと思っている方たちは今までよりも厳しい世界が待っているかもしれませんが、人の命を預かる仕事であるということを理解した上で志高く業務・勉強に励んでいただきたいと思っています。

