| 📋 この記事でわかること |
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✔ 舌下免疫療法とはどんな治療か・仕組み ✔ シダトレン(液体)からシダキュア(錠剤)への変化 ✔ 効果・完治の可能性・対象アレルゲン ✔ 治療期間・費用・保険適用の条件 ✔ なぜ今の時期(6〜11月)が治療開始に向いているか |
「毎年花粉の季節がつらくて…もう根本から治したい」
そんな方に知っていただきたい治療法が「舌下免疫療法」です。毎日薬を飲み続けることで、花粉症そのものを改善・完治に近づけることを目指す、唯一の根本的な治療法です。
ただし、スギ花粉の舌下免疫療法はシーズン中(花粉が飛んでいる時期)には新規開始できません。6〜11月の今の時期こそ、来年の花粉シーズンに向けて治療を始める絶好のタイミングです。
この記事では、舌下免疫療法の仕組み・効果・費用・注意点を薬剤師の立場からわかりやすくお伝えします。
舌下免疫療法とはどんな治療か
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量から毎日舌の下に投与し、体を少しずつ慣らしていくことでアレルギー反応を弱めていく治療法です。「減感作療法」とも呼ばれます。
花粉症の治療には大きく2種類あります。
・対症療法:抗ヒスタミン薬・点鼻薬などで「症状を抑える」治療
・根本治療:舌下免疫療法で「アレルギー体質そのものを改善する」治療
毎年花粉シーズンに薬を飲んで症状を抑えるのが対症療法。舌下免疫療法は花粉症そのものを治すことを目指す、現在唯一の根本的な治療法です。
現在、保険適用で受けられる舌下免疫療法の対象は「スギ花粉症」と「ダニアレルギー性鼻炎」の2種類です。ヒノキ・イネなど他の花粉症には保険適用の舌下免疫療法はありません。
💡 スギ花粉症の方の約80%はヒノキ花粉症も合併しています。スギの舌下免疫療法でヒノキにも効果が出る場合もありますが、個人差があります。

「花粉症は治らない」と思っている方が多いですが、舌下免疫療法は完治を目指せる可能性がある治療です。毎年つらい思いをされている方には、ぜひ一度検討してほしい治療法です。
液体から錠剤へ・続けやすくなった舌下免疫療法
舌下免疫療法は2014年に「シダトレン」という液体製剤から始まりました。しかし液体製剤は冷蔵保存が必要で、毎日スポイトで舌の下に滴下する手間がかかり、途中でやめてしまう方も少なくありませんでした。
2018年に錠剤「シダキュア」が発売されてからは大きく変わりました。
【シダトレン(液体)→ シダキュア(錠剤)の主な変化】
・保管方法:冷蔵保存が必要 → 常温保存でOK
・服用方法:スポイトで滴下 → 舌の下に置くだけ
・対象年齢:12歳以上 → 5歳以上に拡大
・有効成分量:シダキュアはシダトレンの約2.5倍
シダトレンは2021年3月に販売中止となり、現在の新規治療はすべてシダキュアで行われています。
💡 薬剤師として感じること
以前は「冷蔵保存が面倒」「旅行中に持ち歩けない」という声をよく聞きました。シダキュアになってからは常温保存・錠剤で続けやすくなり、継続率が上がった印象があります。

舌下免疫療法は続けることが何より大切な治療です。錠剤になって「毎日続けやすくなった」という点は、治療効果にも直結する大きな改善だと思っています。
効果・完治の可能性はどのくらい?
全体として約7〜8割の方に何らかの効果が認められています。完治・効果の内訳はおおよそ以下のように報告されています。
・完治(ほぼ症状なし):約20%
・非常に効果がある:約30%
・効果がある:約30%
・効果なし:約10〜20%
治療期間が長くなるほど効果が高まる傾向があり、3〜5年継続することが推奨されています。治療終了後も7〜8年間効果が持続するとされています。
⚠️ 全員が完治するわけではありません
「完治しなかった」という方の中には、スギ以外にも複数のアレルゲン(ヒノキ・イネ・ダニなど)を持っている方が多い印象があります。スギだけのアレルギーなら効果が出やすく、複数のアレルゲンを持っている場合は効果を実感しにくいケースもあります。
💡 治療を始めた患者さんの中で「いつの間にか来なくなった」という方がいます。その後に聞いてみると「花粉症が気にならなくなった」とおっしゃっていました。完治した方は本当に薬が不要になります。

「効果がなかった」という方の背景には、複数のアレルゲンへの反応が関係している可能性があります。まず血液検査で自分がどのアレルゲンに反応しているかを調べることが、治療の第一歩です。
治療の流れ・費用・保険適用
【治療の流れ】
① 受診・血液検査(スギ/ダニのアレルギーを確認)
② 初回投与(院内で医師の監督のもと実施・30分経過観察)
③ 翌日から自宅で毎日服用
④ 月1回の定期受診
【服用方法】
錠剤を舌の下に置き、1分間そのまま保持→飲み込む。飲み込んだ後5分間は飲食・うがい不可。これを毎日1回続けます。
【治療期間】
3〜5年間が推奨されています。最低2年は続けることが必要で、2年時点で効果がない場合は中止を検討します。
【費用(3割負担の目安)】
・初診・検査:5,000円前後
・毎月の治療費(診察+薬代):2,000〜3,500円程度
【開始できる時期】
・スギ花粉症:6〜11月(花粉飛散期は新規開始不可)
・ダニアレルギー:通年いつでも開始可能
⚠️ 舌下免疫療法は処方資格を持つ医師のみが処方できます。すべての耳鼻科・クリニックで受けられるわけではありません。「地域名+舌下免疫療法」で検索するか、かかりつけ医に確認してください。

毎年の花粉症の薬代と比較してみてください。抗ヒスタミン薬を毎年シーズンに飲み続けるより、舌下免疫療法で根本から改善できれば長期的には費用を抑えられる可能性があります。
副作用と注意点
【よくある副作用】
・口の中のかゆみ・腫れ・違和感
・のどのかゆみ・耳のかゆみ
・鼻水・くしゃみ
・頭痛
これらは治療開始直後に出やすく、多くは1週間程度で落ち着きます。ダニの舌下免疫療法はスギより副作用が出やすい傾向があります。
⚠️ まれに重篤な副作用(アナフィラキシー)が起こる可能性がゼロではありません。初回投与は必ず医療機関で行い、30分間の経過観察が必要です。
【治療を受けられない方】
・妊娠中・近いうちに妊娠を予定している方
・重症の気管支喘息がある方
・悪性腫瘍・免疫不全・自己免疫疾患がある方
・β遮断薬を服用中の方(降圧薬の一種)
💡 気管支喘息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎への効果はありません。鼻炎症状に対する治療法です。

副作用が出ても自己判断でやめないでください。多くは一時的なもので、医師に相談することで対処できます。続けることが大切な治療なので、気になることがあればすぐに受診した医療機関に連絡してください。
まとめ
✅ 舌下免疫療法は花粉症を根本から治すことを目指す唯一の治療法
✅ 対象はスギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎のみ(他の花粉には保険適用なし)
✅ 約7〜8割の方に効果があり、約2割が完治に近い状態になる
✅ 錠剤(シダキュア)になり常温保存・服用が簡便になって続けやすくなった
✅ 治療期間は3〜5年・月1回の通院・費用は月2,000〜3,500円程度
✅ スギ花粉症の新規開始は6〜11月のみ。今が始め時!

「来年こそ花粉症をなんとかしたい」と思っている方は、今がまさに治療を始めるベストなタイミングです。まずはかかりつけの耳鼻科や内科に相談してみてください。薬剤師にも気軽に聞いてください。
【参考文献・出典】
・シダキュア スギ花粉舌下錠 電子添文(鳥居薬品株式会社)
・ミティキュア ダニ舌下錠 電子添文(鳥居薬品株式会社)
・アレルゲン免疫療法について(日本アレルギー学会)
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_atopic/index.php?content_id=5
・花粉症の正しい知識と治療・セルフケア(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun.html

