薬が飲みづらい・飲み込めない時の対処法を薬剤師が解説|在宅現場のリアルな事例も紹介

介護と薬

【この記事でわかること】

✅ 薬が飲みづらくなる原因
✅ あごを上げて飲むのは実はNG
✅ 飲みづらい時の正しい対処法
✅ 勝手に噛み砕くと危険な薬がある
✅ 在宅現場で実際に起きたトラブル事例

「薬が大きくて飲み込めない」「口に入れてもなかなか飲み込めない」——そんな悩みを抱えている方やご家族は多いのではないでしょうか。

特に高齢になると加齢による嚥下機能の低下によって薬が飲みづらくなることがあります。しかし間違った対処法をとってしまうと思わぬトラブルにつながることもあります。

この記事では在宅訪問に20年以上携わってきた薬剤師が、薬が飲みづらい時の正しい対処法と在宅現場で実際に起きたトラブル事例をわかりやすく解説します。

薬が飲みづらくなる原因

薬が飲みづらくなる原因はいくつかあります。

🔴 嚥下機能の低下
加齢に伴い飲み込む力(嚥下機能)が低下します。またパーキンソン病や脳卒中などの後遺症によっても嚥下機能が著しく低下することがあります。

🟡 錠剤が大きい・数が多い
錠剤のサイズが大きかったり、一度に飲む薬の数が多いと飲みづらくなります。特に複数の医療機関を受診している方は薬の数が多くなりがちです。

実はNG!よくある間違った飲み方

🔴 あごを上げて飲む
在宅患者さんに限らず非常に多く見かけるのがあごを上げて薬を飲もうとするケースです。あごを上げると気道が開きやすくなり、かえって薬が飲み込みにくくなります。また誤嚥のリスクも高くなるため大変危険です。薬を飲む時は少しあごを引いた状態で飲み込むのが正しい飲み方です。

🟡 噛み砕いて飲む
錠剤が大きくて飲みにくいからと噛み砕いて飲む方がいますが、薬によっては効果がなくなったり逆に効きすぎたりすることがあります。また硬い錠剤を噛み砕こうとして歯がかけたり折れてしまうケースもあります。自己判断で噛み砕くことは絶対に避けてください。

🟢 口の中で溶かして飲む
噛み砕くのと同様に、口の中で溶かして飲む方もいます。薬によっては口腔内への刺激が強く、口内炎などのトラブルにつながることがあります。

Ph.そら
Ph.そら

在宅訪問をしていると「普段どのようにして薬を飲んでいますか?」と確認すると、噛み砕いて飲んでいる・口の中で溶かして飲んでいるという方が意外と多くいらっしゃいます。当たり前のことだからこそ確認を怠りがちですが、定期的に確認することがとても大切です。

薬が飲みづらい時の正しい対処法

薬が飲みづらい場合はまず原因を調べることが大切です。本人や家族・訪問看護師への聞き取りや、実際に飲む場面を見せてもらうことで的確な改善方法を提案することができます。

🔴 対処法① 正しい飲み方を身につける
まず試してほしいのが飲み方の見直しです。

✅ 少しあごを引いた状態で飲み込む
✅ 水またはぬるま湯を十分な量(コップ1杯程度)で飲む
✅ 体を起こした状態で飲む
✅ 薬を口に入れてすぐに水を飲む

🟡 対処法② 剤形を変える
錠剤が飲みづらい場合は医師に相談して剤形を変更してもらうことができます。

✅ OD錠(口腔内崩壊錠):口の中で素早く溶けるタイプ
✅ 液剤:液体タイプで飲み込みやすい
✅ 経皮吸収型貼付剤:皮膚に貼るタイプで飲む必要がない
✅ 小さいサイズの類似薬に変更する

🟢 対処法③ 服薬補助ゼリー・とろみ剤を使う
服薬補助ゼリーは薬をゼリーで包んで飲み込みやすくするものです。とろみ剤は水分にとろみをつけることで飲み込みやすくします。はじめは逆に飲みづらいと感じることも多いですが慣れるととても楽に薬が飲めるようになります。また水で飲むよりも誤嚥リスクも減らせます。

🔵 対処法④ 粉砕する(最終手段)
どうしても飲めない場合は薬を粉砕することも選択肢のひとつです。ただし薬の安定性が損なわれたり口腔内への刺激が強くなる薬もあるため必ず薬剤師に相談してから行ってください。粉砕はあくまで最終手段です。

在宅現場で実際に起きたトラブル事例

在宅訪問をしていると薬が飲みづらいことによるトラブルに遭遇することがあります。実際に経験した事例をご紹介します。

パーキンソン病の治療薬(L-dopa製剤)と酸化マグネシウムを服用している患者さんの口の中が真っ黒になっていたことがありました。嚥下機能の低下により薬が飲み込めず口の中に残ってしまい、L-dopa製剤と酸化マグネシウムが口腔内で反応して黒くなってしまったのです。薬が飲み込めていない場合、このような思わぬトラブルにつながることがあります。服薬後に口の中を確認する習慣をつけることが大切です。

Ph.そら
Ph.そら

つい先日、訪問看護師から「薬を粉砕してもらえますか?」と依頼がありました。「〇〇さんから薬が飲みづらいとご相談を受けたことはなかったのですが、飲みづらくなっていますか?」と聞くと、「飲み込みにくいからと噛み砕こうとしたら歯が2本も折れてしまって…これから歯医者さんにも訪問依頼をする予定です」とのことでした。もう少し丁寧な声かけを行っていれば防げたかもしれないと反省しました。薬が飲みづらくなっていないか定期的に確認することの大切さを改めて感じた出来事でした。

まとめ

薬が飲みづらいと感じたら自己判断で対処せず、まず薬剤師や医師に相談してください。

✅ あごを上げて飲むのはNG・少しあごを引いて飲むのが正しい
✅ 自己判断で噛み砕くのは危険・歯が折れるリスクもある
✅ 口の中で溶かして飲むのも薬によっては問題がある
✅ 飲みづらい場合はOD錠・液剤・貼り薬などへの変更を検討する
✅ 服薬補助ゼリーやとろみ剤も有効な選択肢
✅ 粉砕は最終手段・必ず薬剤師に相談してから行う
✅ 服薬後に口の中を確認する習慣をつける

薬の飲み方や剤形の変更についてはお気軽に薬局の薬剤師に相談してください。

Ph.そら
Ph.そら

自己判断で誤った服薬方法を続けると思わぬ事故につながる恐れがあります。適切に対応することで、多くの場合は解決します。
薬が飲みづらくなったと感じたら早めに薬剤師に相談してください。

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