【この記事でわかること】
✅ 塩分が血圧を上げる仕組み
✅ 日本人に多い「食塩感受性高血圧」とは
✅ 塩分過多による血圧以外のデメリット
✅ 減塩でどのくらい血圧が下がるのか
✅ 「たったの1mmHg」が実は重要な理由
✅ 減塩の具体的な実践方法
「塩分の取り過ぎで血圧が上がる」これはどこかで聞いたことがある話だと思います。でも実際に減塩をするとどのくらい血圧が下がるのか、そしてその数値がどれほど重要なのかを正確に知っている方は少ないかもしれません。
今回は現役薬剤師として、塩分と血圧の関係から減塩の具体的な効果・実践方法までお伝えします。
塩分が血圧を上げる仕組み
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると体内の浸透圧を保つために水分が増え、血液の量が増加します。血液量が増えると心臓はより多くの血液を送り出す必要があり、血管にかかる圧力が上昇します。これが塩分によって血圧が上がる仕組みです。
また塩分の過剰摂取は血管を収縮させる作用もあるため、さらに血圧を上昇させることになります。
食塩感受性高血圧とは|日本人に多いタイプ
塩分によって血圧が上昇しやすいタイプを「食塩感受性高血圧」と呼びます。欧米人と比べて日本人に多く見られ、高血圧症患者の約4割が該当するとされています。
つまり残り6割の方には減塩による血圧低下はあまり期待できないことになりますが、自分が感受性かどうかの判断は難しいため、基本的には高血圧症患者全員に減塩指導が必要とされています。
塩分過多のデメリットは血圧上昇だけではない
塩分を摂りすぎることで起こる問題は高血圧だけではありません。
✅ 慢性腎臓病(CKD)のリスク:塩分過多は腎臓に大きな負担をかけ、慢性腎臓病のリスクを高めます。
✅ むくみ:体内に水分が蓄積されることで顔や足がむくみやすくなります。
✅ 胃がんのリスク増加:塩分は胃の粘膜を傷つけ、ピロリ菌感染と合わさると胃がんのリスクが高まることがわかっています。
✅ 骨粗鬆症のリスク:塩分を過剰に摂取すると尿中にカルシウムが排出されやすくなり、骨密度の低下につながります。
高血圧以外にもさまざまなリスクがあるため、減塩は幅広い意味で健康に大切です。
減塩の効果|塩分1gで血圧が1mmHg下がる
実際に減塩と降圧効果を調べた研究によると、塩分を1g減らすと収縮期血圧が約1mmHg低下することがわかっています(高血圧治療ガイドライン2019)。
「たったの1mmHg!」と思いますよね?でも実はこの1mmHgがとても重要なのです。
「たったの1mmHg」が重要な理由
「たった1mmHg」と思うかもしれませんが、血圧とは血管が受け続ける圧力のことです。1mmHgの差が積み重なって血管の傷みはじわじわと進んでいきます。
そして収縮期血圧を10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少するというデータがあります(高血圧管理・治療ガイドライン2025)。
現場で患者さんからよく聞かれるのが「先生に5mmHg下げましょうと言われたけど、毎日測ってると自然にそのくらい上下するのに意味があるの?」という疑問です。
答えはYESです。確実に血管への負担は減っています。「その日その時の数値」ではなく「平均値として下がっていること」が大切なのです。
また現場では減塩だけで血圧が10以上下がった方もいます。もともと塩分摂取量が多かった方では特に効果が出やすいです。
減塩の実践方法
まず自分が1日にどのくらい塩分を摂っているか知ることが減塩の第一歩です。
【主な食品の塩分量の目安】
・ラーメン(1杯):約5〜6g
・インスタントラーメン(1袋):約5〜7g
・カップ麺(1個):約6〜8g
・うどん(1杯):約3〜5g
・味噌汁(1杯):約1.5g
・梅干し(1個):約2g
・醤油(大さじ1):約2.6g
・味噌(大さじ1):約2g
・食パン(1枚):約0.8g
・ハム(2枚):約0.5g
【日本人の平均塩分摂取量(令和5年 国民健康・栄養調査)】
・男性:約10.7g/日
・女性:約9.1g/日
【目標値(厚生労働省2020年版)】
・男性:7.5g未満/日
・女性:6.5g未満/日
多くの方が目標値を大きく上回っています。
【食事での工夫】
✅ 醤油・塩・味噌などの調味料を減らす
✅ 麺類のスープは飲み干さない
✅ 加工食品・インスタント食品を減らす
✅ 外食の頻度を減らす
【カリウム・食物繊維で塩分を排泄する】
減塩が難しい場合は野菜や果物からカリウムや食物繊維を積極的に摂ることもおすすめです。カリウムは体内の余分なナトリウムを排泄する働きがあるため、塩分の影響を和らげる効果が期待できます。
ただしカリウムは慢性腎臓病の方では制限が必要な場合があります。持病のある方は医師・薬剤師に相談してください。
まとめ|減塩は最も手軽にできる降圧対策
✅ 塩分過多は血圧上昇だけでなく腎臓・胃がん・骨粗鬆症のリスクも高める
✅ 塩分1g減らすと収縮期血圧が約1mmHg低下する
✅ 10mmHg下げると脳卒中・心臓病が約2割減少する
✅ 5mmHgでも確実に血管への負担は減っている
✅ カリウム・食物繊維の摂取も減塩効果を補助する
塩分と血圧の関係について気になることがあればいつでも薬剤師に相談してください。食事内容や生活習慣について一緒に考えます。

